最近テレビや雑誌で数多く取り上げられている「加圧トレーニング」とは、文字通り圧力を加えた状態でするトレーニングのことです。
腕や脚に適正な圧力をかけてわざと血の流れを悪くします。自己流で血の流れを完全に止めてしまうと、血栓ができる危険性がありますし、強い痛みを生じます。ですから、適正な圧力を専用の器械で測定しながら行います。
この状態でトレーニングをすると、少ない負荷のトレーニングでも大きな効果が得られるのです。
どういう効果があるの?
適正に血流を制限すると、腕や脚に血液がプーリング(滞留)していきます。
すると、行き場を失った血液は今まで血の流れていなかった場所に流れるようになります。 東京大学の石井直方教授らの研究では、体内は激しいトレーニングを続けたときと同じ状態になっています。 つまり、身体が「すごく激しいトレーニングをしている」と勘違いをしてしまうのです。
この状態でトレーニングを行うと、軽い負荷でも大きな負荷をかけたときと同じ効果が得られるのです。
さらに、成長ホルモンの分泌量が増大します。成長ホルモンには、脂肪を燃焼させたり、肌の弾力を維持させたりする働きがあります。つまり、軽い負荷でダイエット効果と、若返りの効果が得られます。
また、トレーニング後に加圧をはずすと、血行がよくなるので、冷え性の改善や肩こりの緩和も期待できます。循環器のトレーニングにも最適です。もちろん、筋肉を強く太くすることも可能です。
スポーツ選手のトレーニングにはもちろん、若さとしなやかさを維持したい女性、健康的な体を保ちたいシニアの人たちなど、みなさんにお勧めできるトレーニング法です。
加圧トレーニングのメカニズム
加圧によって、筋肉に乳酸が蓄積
適正な加圧を行うと、ごく軽い運動でも疲労物質である乳酸が溜まります。
しかし、血流を加圧ベルトで適度に阻害しているため、乳酸は出るところを失い、筋肉の中にどんどん蓄積されていきます。
成長ホルモンが多量に分泌
溜まった乳酸は、筋肉にある、刺激を受け取る細胞である受容体を刺激します。
脳は、刺激を受けて損傷した受容体を再生するために成長ホルモンを多量に血中に分泌します。そのときの成長ホルモンの血中濃度は、なんと通常のトレーニングの約10倍、安静時の290倍にもなります!
ダイエット・アンチエイジングに大きな効果
血液にのって全身に多量の成長ホルモンが運ばれると、脂肪細胞に作用して、脂肪を分解したり、体の老化を遅くしたりします。
また、成長ホルモンには、美肌やアンチエイジング効果もあると言われています。
加圧トレーニングの効果を上げる方法は?
【筋肉をつける場合】
加圧トレーニング後の30分以内にたんぱく質とグルタミンを含む食事、またはプロテインのサプリメントを摂取しましょう。
トレーニング後の1時間くらいから筋肉の合成が始まりますので、その時に必要な材料を取っておくことで、加圧トレーニング効果を効率良く体に反映することができます。
【余分な脂肪をとる場合】
加圧トレーニング後、有酸素運動を続けることで効率よく脂肪を燃焼させることができます。
また、運動終了後も1時間くらいは脂肪が燃えつづけていますので、長めの入浴を行うとより効果的です。また、就寝前にアミノ酸を補充しておくと、睡眠中の細胞組成に役立ちます。
2004年に日本加圧トレーニング学会が発足され、現在までにすでに数十万人の方が加圧トレーニングを実践しています。2006年4月には東京大学大学院 新領域創成科学研究科においてスポーツ・運動生体情報科学寄附講座(サトウスポーツプラザ)が開設、当院では同講座にてインストラクターの資格を取得して、安全に皆さまに加圧トレーニングの指導を行うことができます。
私自身も実践済みで、12kgダイエット&肉体改造に成功しました。加圧トレーニングを行う以前は、血圧が少し高かったのですが(!)、現在では標準値を維持しています。筋肉を褒められると嬉しいので、声をかけてくださいね。
ちなみに、当院ではトレーニングを行う際に入会金など一切不要です。お気軽にご相談下さい。