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神経痛・痛風

針に刺されたような強い痛みが突発的に生じる神経痛。
「風があたるだけでも痛い」「風のように痛みが移動する」そんなところから名づけられた痛風。
実は、薬でかなりコントロールすることが可能です。

神経痛

神経痛とは?

 神経痛とは、特定の末梢神経に、に刺されたような強い痛みが突発的に生じる状態のこと。痛みは、数秒・数分と、不規則な間隔で繰り返し起こります。
 神経痛は、原因がはっきりと特定できるものもありますが、原因不明の突発的なものもあります。原因不明の神経痛のなかのいくつかは、外傷などによって損傷した神経が再結合するときにうまく接合できず、痛みの信号が脊髄に伝達されるのが原因であるという説もあります。
 また、これも理由は定かではありませんが、秋から冬の寒い時期によく起こります。リウマチにも似た痛みですが、リウマチとは違い、関節の炎症や変形などは起こりません。
 神経痛にはさまざまな種類がありますが、おもなものは、以下の3種類です。

■坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)

 もっとも多いとされる神経痛。足のつけ根、おしりの部分の神経に、ピリリっと電気が走ったような痛みが走ります。坐骨神経痛では、原因として「腰椎椎間板ヘルニア」が見られることが多く、腰の椎間板が坐骨神経を圧迫・刺激して痛みが生じています。また「変形性腰椎症」「腰部脊椎管狭窄症」などによって、痛みが起きている場合もあります。さらには、悪性腫瘍や糖尿病による神経炎が原因である場合もあります。
 このように、坐骨神経痛は、痛みを起こしている原因を正しく突きとめ、それぞれの原因疾患に対して適切な治療を行っていくことが大切です。

■肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)

 胸や背中に、針で刺したような鋭い痛みが生じるもの。帯状疱疹ウイルスや「骨粗鬆症」などによってよく起こります。また、脊椎から出ている部分の肋間神経が、骨などに触れて痛みが生じる場合もあります。肋間神経痛は坐骨神経痛の次によくみられます。

■三叉神経痛(さんさしんけいつう)

 三叉神経とは、顔面を走っている神経のこと。三叉神経痛では、食事をしたときや歯磨きの際などに、顔面の半分に激痛が走ります。顔面麻痺とよく似た症状ですが、顔面麻痺とは違い、しびれ感はありません。動脈硬化などが原因となって、血管が三叉神経を圧迫して起こる場合が多いといわれていますが、ヘルペスなどのウイルス感染によっても起こります。

神経痛の治療方法は?

鎮痛剤の処方など、薬物療法が治療の中心となります。また、痛みがひどい場合には「神経ブロック」も行われます。
 「腰椎椎間板ヘルニア」が原因の座骨神経痛の場合には、薬物療法とともに、けん引や温熱療法などのリハビリテーションや、コルセットなどの装具療法も行われます。
 肋間神経痛の場合には、薬物療法と温熱療法などが行われます。
 三叉神経痛においては「抗けいれん薬」が有効であることが多く、痛みの軽減が期待できます。

痛風

痛風とは?

 足の親指がシクシク痛む。「何だろう? ちょっとひねったのかな?」。そう思って様子を見ていると、だんだん腫れてきて、やがて耐えがたいほどの激痛に…。  これが、いわゆる痛風発作。がまん強い男性でも、2~3日は寝込んでしまうほどです。  一般的に「贅沢病」と語られることの多い痛風ですが、いったいどんな仕組みで起こるのでしょうか?

痛風が起こるメカニズム

■命のもと プリン体

 生物の基本情報はDNAなどが持っています。このDNAの主成分となっているのが「プリン体」です。ちなみにプリン体という名前は、「purine」という分子名であり、食べ物のプリン(pudding)とは何の関係ありません。
 プリン体はすべての生命が持っており、人間は摂取したさまざまな栄養素からプリン体を合成しています。当然ながら食物のなかもにプリン体が含まれています。プリン体は肝臓に送られ分解されて「尿酸」になります。尿酸は腎臓に送られ、最終的に尿として体外に排出されます。

■高尿酸血症

 ところが、何らかの異常により、尿酸がうまく体外に排出されなくなる場合があります。また、体内でプリン体が過剰につくられることもあります。プリン体が多いと当然ながら尿酸もたくさんつくられます。
 このように尿酸の生産過剰や排泄低下が起こると、血液中の尿酸が異常に多くなり、なぜか関節に運ばれてしまいます。そして尿酸は、関節の内部でギザギザの結晶と化します。この結晶が強い炎症を引き起こし、激しい痛みとなって現れるのです。

 血液中の尿酸が異常に高い状態を「高尿酸血症」といいます。正常な状態でも血液中に尿酸は存在しますが、血中濃度が7mg/dLを越えると高尿酸血症となります。高尿酸血症自体、自覚症状はありませんが、放置していると痛風となります。
 なぜ尿酸の過剰生産や排泄低下が起こるかは、はっきりとはわかっていません。飲酒や食べ過ぎによるプリン体の過剰摂取も要因のひとつとされています。だから「贅沢病」などというありがたくない呼ばれ方をしているのですね。また遺伝的体質や、激しすぎる運動、またほかの疾患との関連も指摘されています。

痛風の症状は?

 まず足の指の関節、とくに親指のつけ根に炎症を起こすことが多く、激しい痛みが3日~7日程度続きます。しばらくすると痛みがうそのように消えていきます。しかし、半年〜1年後にまた激しい痛みに襲われます。
 このように痛風の症状は、突発的に起こるため「痛風発作」と呼ばれています。発作が起こる関節がいつも同じとは限らず、左足の指、右足の指、そして膝や肘に現れることもあります。
 治療を行わず放置すると、発作が起こる間隔が短くなって慢性化し、やがて関節が破壊されて変形してしまいます。さらには、腎臓などの内臓にも結晶ができ、腎結石尿路結石になってしまうこともあります。
 明らかな理由は不明ですが、痛風は圧倒的に男性に多い病気で、98〜99%が男性だとされています。また、中年期に発症することがほとんどです。

痛風の治療方法は?

 発作時には、炎症と痛みを抑える対処療法として、「非ステロイド系抗炎症薬」が処方されます。重症の発作の場合には、強力に炎症を抑えてくれる「副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)」の内服や注射を行う場合もあります。
 また、痛風の原因である尿酸を減らすために「尿酸産生阻害薬」や「尿酸排泄促進薬」などの「尿酸コントロール薬」が処方されます。これらはとても効果的に尿酸を減らしてくれ、再発を予防してくれます。長期間服用をすることが必要となります。

日常生活で気をつけることは?

 食生活においては、プリン体を取りすぎないように注意しましょう。とはいうものの、プリン体は食物から摂取するだけではなく、他の栄養素からも体内で合成されており、食物から直接取り込むプリン体は、全体の1/3程度ともいわれています。ですので、プリン体だけを控えるのではなく「腹八分目」を心がけて食事の総量を制限するなど、食生活全体を改善していきましょう。
 尿酸排泄促進薬を服用すると、尿酸が尿に排出されます。それ自体は大変好ましいことなのですが、尿のなかの尿酸が増えることで、尿路結石のリスクが高まってしまいます。そのため、水分をたくさん(1日2リットル以上)取って、尿の量を増やすようにしてください。尿の量が増えると尿酸濃度が減少するので、尿路結石の予防になります。

 痛風は、一度発症すると一生つきあっていかなくてはいけない病気ですが、現在は尿酸コントロール薬というとても効果的な薬があるため、きちんと服用を続けていれば、痛風の予後は良好です。
 痛風の発作は非常に苦痛なため、放置する方はほとんどいないとは思いますが、症状が治まっているときは、ついつい油断しがちです。つらい発作を繰り返さないためにも、薬の服用と節度ある食生活を心がけてくださいね!

院長のひとりごと

痛風の原因として、ビールが槍玉に挙げられることが多いですね。もちろんプリン体が多く含まれている飲料には変わりありませんが、実はお付き合い程度の適量を心がければそれほど気に病む必要はありません。(むしろ、あん肝やレバーなどの肝臓・白子・刺身・ステーキ・干物などの食品の方がより多くのプリン体が含まれています。)個人的には、食生活に工夫をしながらであれば、ストレス解消のためにも缶ビール一本くらいなら毎晩気持ちよく飲んで頂きたいなと思っています。

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三重県松阪市の整形外科病院。坐骨神経痛・肋間神経痛・三叉神経痛などの神経痛と、痛風について解説。